ごあいさつ

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未来社会のあるべき姿を求めて

-新しい価値観に基づく地域産業の発展と育成を支援-

 皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。併せて、平素は工業技術センターの各種事業推進に際してご支援とご協力を賜り、厚くお礼を申し上げます。
 私共の工業技術センターは大正6年(1917年)に創設された知事直轄の「兵庫県工業試験場」を前身とし、平成29年(2017年)には創立100周年を迎えた歴史あるモノづくり技術の支援機関であります。当センターでは地域の中小企業のモノづくり力の強化を図るため、「兵庫2030年の展望」として3つの目標を掲げています。すなわち、①中小企業の「技術の駆け込み寺」としての機能強化、②イノベーション創出に向けた成果指向型研究開発の推進、③産学官連携ネットワークによる工業技術センター機能の拡充であります。
 ところで、最近の新型コロナウィルスの世界的蔓延により、人と人との接触が大きく制限されるとともに、革新的なデジタルトランスフォーメーション技術の発展によって大都市一極集中型から地方分散型へと社会構造の急速な変化が進行しています。これにより、人々の価値観は大きく変化し、人々が求める未来社会のあるべき姿も大きく変化してきたように思えます。
 最近の新聞記事によると、世界各地から大都市の大気汚染が大幅に改善したという報告が相次ぐとともに、世界のCO2の排出量は2019年度比で約17%減少し、日本では約30%の減少が報告されています。2021年4月までの日本のCO2削減目標は、2030年度までに2013年度比で26%のCO2削減とされていました。当初は、この目標でも乾いた雑巾を絞るようなものと実現が危ぶまれていましたが、我々はこの目標を僅か2年で大きく超えて達成してしまったことになります。
 今回のコロナ・パンデミックは現代社会の脆弱性を露呈しましたが、同時に、地球環境の改善や、ゆとりある社会構造の構築といった、未来社会のあるべき姿を我々に教えてくれたとも言えます。その結果、人に本当に必要なものとは何か、人の幸せとは何かといった人々の価値観も大きく変化してきたように思います。我々はこのような人々の価値観の変化に対応したイノベーション創出を目指していかなければなりません。
 当工業技術センターは、中小企業に開かれた県内唯一のモノづくり技術の支援機関であり、現在のコロナ禍の困難な状況下にあっても、未来社会のあるべき姿をイメージしながら、新しい価値観に基づくイノベーション創出を目指して行かなくてはなりません。そのためにも、当センターが長年に亘って蓄積してきた技術力や企業支援のノウハウ、さらには関係機関との連携を強化し、地域産業の発展と育成に向けて、職員一同鋭意努力する所存です。引き続き皆様のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

令和4年4月吉日

兵庫県立工業技術センター

所長 山﨑やまさき とおる