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導電性・熱伝導性に優れたフレキシブルなグラフェンシートの開発

薄厚強度なグラフェンシート

 薄型の電子機器では、発生する熱の効率的な放熱、有機ELなどを保護するための断熱が重要な技術課題になってきています。
 本研究開発では、面内方向の熱伝導性に優れ、厚さ方向の断熱効果の大きい薄厚高強度のグラフェンシートの開発を行いました。

開発の背景

 スマートフォン、ノートパッドなどの携帯端末では、小型・薄肉化と高性能化を両立させる必要があり、機器内部より発生、蓄積する熱をいかに放散させるかが極めて重要な課題となっています。このため、近年ではグラファイトシート、グラファイトフィルムで構成される熱拡散シート(厚さ方向は断熱)が多用されるようになっていますが、これらの従来材料では脆い、加工性が悪い、薄肉化に限界がある、大きく長いものが供給できない、高価格などの課題があり、改善ニーズが多くあります。
 グラフェンは、高強度で優れた電気伝導性、熱伝導性を持つ材料です。株式会社インキュベーション・アライアンスでは、グラフェンの大量合成に世界で初めて成功し、グラフェンの分散液を製品化してきました。また、これらグラフェン分散液を用いて基材にコーティングする技術を有しています。このコーティング技術を活用し、生産性の高いロールツーロールによる薄厚高強度のグラフェンシートの開発を行いました。

グラフェンシートの製造方法

 独自技術として設計製作したロールツーロールグラフェンコーターを適用して、グラフェンを高濃度に分散・配合させた熱伝導層スラリーを各種基材に高充填率かつ高生産でコーティングする技術を開発しました。さらに、コーティング後のグラフェン被覆シートの伝導性、強度、表面平滑性、外観等を教条させる条件の最適化を行うことにより、薄厚高強度なグラフェンシートを作製しました。

グラフェンシートの冷却効果

 一般的な放熱材料である銅フィルムと同等の冷却効果のあるゲラフェンシートを開発しました(下図)。開発したグラフェンシートは比重が銅のおよそ1/5であり、製品の軽量化にも大きく貢献できると期待されます。


図 グラフェンシートの冷却効果

開発年度 平成25年度
事業、研究名 材料技術(共同研究)
お問合せ先 ■株式会社インキュベーション・アライアンス
神戸市兵庫区和田山通1-2-25 
ものづくり復興工場 D棟307号
Tel.078-651-1332 
Fax.078-651-1333
http://www.incu-alliance.co.jp
■兵庫県立工業技術センター
技術企画部 福住 正文