研究/活用事例
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液状ゴムの等電点を利用した革への柔軟性付与に関する研究
本研究では、低品質な原皮の物性を向上させることを目的として、液状天然ゴムを湿潤状態の革に浸透させる手法を検討しました。革は県内タンナーから購入したウェットブルーを用い、固形成分60%の液状天然ゴムを浸透させました。静的条件では革内部まで天然ゴムが浸透せず、長時間の浸漬で強度が低下することが確認されました。これは、液状天然ゴムの等電点よりも低いpHで革を処理したため、革表面でゴムが凝集したためと考えられます。
動的条件では、革を中和処理してpHを調整した後にゴム配合液を浸透させることで、革の床面側にゴム層を形成し、乾燥後も定着させることができました。顕微鏡観察により、ゴム層は革厚さの約20%に相当する0.2〜0.3 mmまで浸透していることが確認されました。物性試験では、天然ゴムを浸透させた革は未処理の革に比べ、引裂強度および引張強度が向上しました。
結論として、液状天然ゴムを等電点を考慮して中和処理後の革に浸透させることで、革の床面側にゴム層を形成・固定でき、革の物性を向上させることができました。ただし、革内部全体への浸透や銀面側へのゴム層形成が課題として残ります。中和処理のpHバランスが、浸透性と革の強度に大きく影響することも確認しました。(AIによる要約)
天然ゴム浸透WB の断面拡大図
開発年度 | R6 |
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事業、研究名 | 経常研究 |
公開情報 | 研究報告書 | お問合せ先 |
泉了介 |
研究報告書第34号、液状天然ゴム、等電点、革の物性向上、浸透性評価、クロムなめし革、革製品の付加価値向上、小型4連ドラム加工、ゴム層形成、革の中和処理、工業用革加工技術