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イオン注入による耐汚染性ゴム成形用金型の開発

開発の背景、目的

 家庭用品、電子機器、自動車等に用いられる各種ゴム製品や成形品は成形用金型を用いて製造されます。これらの成形時において、加硫を繰り返すうちに成形品が金型に密着して離型性が悪くなるという問題やゴム表面の外観や製品寸法が損なわれるといった問題が生じるため、これまでは離型剤の塗布、金型のクロムめっき処理、高温窒化処理等で対応されてきました。ところが、これらの処理方法では離型剤塗布による作業環境の悪化や金型表面処理時の加熱により金型に歪みが生じる等の問題を抱えています。このような問題を解決することを目的として、成形用金型のような複雑形状物へのイオン注入が可能なプラズマベースイオン注入(PBII)装置による金型表面処理技術に取り組みました。

開発結果、製品化状況

 PBII 装置によりイオン注入処理を施した各種製品成形用モデル金型を用いて繰り返し加硫試験、射出成形機による実用性評価試験を行いました。金型素材としては硬質クロムめっき鋼、ステンレス鋼、アルミ合金鋼を用い、各種ゴム材料(天然ゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ニトリルゴム)について検討しました。
 図のような防振ゴム用モデル金型に窒素イオン注入処理、フッ素イオン注入処理を施すことによって、ゴム射出成形時において未処理金型に比べて10倍のショット回数でも汚染性、離型性に問題がない耐汚染性ゴム成形用金型を開発しました。この金型は、ゴム成形時の金型汚染を解決し、射出成形の自動運転を可能にすることから、ゴム製造工程の自動化、省力化を推進するものであり、ゴム製品メーカー、金型メーカーで事業化を検討中です。


防振ゴム用モデル金型


射出成形試験状況

開発年度 平成10年度~12年度
事業、研究名 地域コンソーシアム研究開発事業「ゴム・プラスチック用高品位・低コスト金型の研究開発」(新エネ
ルギー・産業技術総合開発機構)
お問合せ先 有機材料部
石川 齋、奥村 城次郎、森 勝、鷲家 洋彦、吉田 和利
企画情報部
長谷 朝博
繊維工業指導所
山口 幸一