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電気めっき技術を利用する新しいリチウムニ次電池

背景、目的

 ノートパソコン、携帯電話などの携帯電子機器の高機能化に伴い、移動用電源として使用されるリチウム二次電池の小型化、高容量化が要求されています。現在、リチウムイオン(二次)電池の負極(マイナス極)には、炭素が使用されていますが、炭素負極では、単位体積当たりの放電容量が低く、製造プロセスも複雑である、といった短所があります。そこで、電気めっき技術を利用する新しいリチウム二次電池の開発に取り組みました。

成果、製品化状況

 電気・電子部品の導通・はんだ付け性の改善や缶詰用鋼板などの耐食性改善に使用されているスズめっき皮膜は、リチウムを充放電する特性を有します。その理論容量は、炭素より大きい(約2.7倍)ため、高容量リチウム二次電池が作製できます。また、スズめっき皮膜は、炭素に比べて密度が大きい(約3.3倍)ため、同じ電極重量では薄膜になります。
 負極に電気めっき法により作製したスズー鉄合金めっき皮膜、 正極にコバルト酸リチウムを用いて、左図のような3V級CR2032型リチウム二次電池を作製しました。また、現在実用化されている炭素負極を用い、同様にCR2032型コイン電池を作製し、その充放電サイクル特性 を比較しました。その結果、右図に示すように、めっき負極を用いた電池では、炭素負極より高容量が得られることがわかりました。 リチウム二次電池にスズー鉄合金めっき負極を用いる研究論文に対し、(社)表面技術協会から平成17年度論文賞が授与されました。この技術は、負極製造工程の省力化および次世代の低コスト薄型リチウム二次電池の開発に応用できます。


試作したCR2032型リチウム二次電池


CR2032型リチウム二次電池の充放電サイクル特性

開発年度 平成13〜14年度
事業・研究名 共同研究
お問合せ先 (独)産業技術総合研究所
兵庫県立工業技術センター
園田 司