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「絵が描ける」新しい部分めっき法の開発

背景、目的

 電子部品の基板には、ガラスやセラミックスなどの高誘電性素材が使用されてきています。これらの表面に電極や配線などの導電性パターンを形成するのに無電解めっき法が利用されています。現在、導電性パターンの形成には、主に、レジストやシールテープなどを用いたマスク処理とめっき皮膜を溶解除去するエッチング処理を組み合わせた複雑な工程を有する部分めっき法が採用されています。
 本研究では、無電解めっきの活性化前処理に新しい手法を取り入れ、部分めっき工程の簡略化を目的とした新しい部分めっき法の開発を行いました。

成果、製品化状況

 導電性がないガラス等の基板上にめっきを行うには、まず基板を活性化溶液に浸して、基板表面に触媒性を付与する活性化前処理を行う必要があります。今回この活性化前処理に、溶液ではなく、固体活性剤を用いる新しい前処理法を開発しました。この方法を用いると、マスク処理を施さなくても部分めっきが可能となることから、部分めっき工程の簡略化が期待できます。
 固体活性剤を用いた部分めっきの例を図1、2に示します。固体活性剤をペン先に取り付けた”活性化ペン”を用いてガラス基板上のめっきしたい部分を描きます。描いた部分のみが活性化され、無電解めっき浴に浸すと、その部分のみにめっきが析出します。活性化はフリーハンドで行うことができ、ガラス基板上にめっきで絵を描くことができます。
 この技術は、電気的な回路パターンの形成にも応用が期待されます。


図1 固体活性剤を用いた活性化前処理による部分めっき工程


図2 ガラス基板上にめっきで描いた絵や線のパターン

開発年度 平成16年度
事業、研究名 技術改善研究
お問合せ先 兵庫県立工業技術センター
山岸 憲史、西羅 正芳、松井 博