活用事例集

HOME > 情報発信 > 活用事例集 > 亜臨界水処理による新しい食品加工技術

活用事例集一覧へ戻る

亜臨界水処理による新しい食品加工技術

背景、目的

 「亜臨界水」とは、温度、圧力が374℃、22MPa以下の高圧な熱水をいいます。この「亜臨界水」で処理することにより、食品など有機物の加水分解反応等が瞬時に起こることが知られています。また、反応時間が短いと同時に水だけで各種の反応が進む大きなメリットがあります。
 この亜臨界水を用いた食品加工法について種々の実験を行ってきましたが、その中で食材を「煮る」及び「焼く」という現象が瞬時に起こることが分かりました。
ここでは、玉葱を亜臨界水を用いて処理した例を報告します。

成果、製品化状況

 開発した亜臨界水連続処理装置を下図に示します。スラリー状にした玉葱は、まず高圧ポンプで送られてきた亜臨界水とスタティックミキサー内で混合されます。その後、直ちに冷却されて排出されます。温度は150、200、250℃の3種類、圧力12MPa、時間4~5秒で亜臨界水による処理を行いました。


図1 連続式亜臨界水処理装置

 玉葱はそのままでは苦みがあり刺激臭がしますが、亜臨界水処理することにより匂いと味が変化します。表で示したように、200℃の処理では匂い、味ともに十分食品に利用することができ、スープ等種々の食品への添加が可能です。
さらに、亜臨界水処理により生理活性効果のある水溶性食物繊維が倍以上に増加することがわかり、新しい食品加工技術として応用化が期待できます。


表 亜臨界水処理玉葱の味と匂いの評価


図2 亜臨界水処理玉葱(乾燥物)
左から未処理、150℃、200℃、250℃処理物

開発年度 平成16年度
事業、研究名 兵庫県COEプログラム推進事業
お問合せ先 兵庫県立工業技術センター
原田 修