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デンプンを用いた新しい生分解性フィルム

環境に優しい天然素材のデンプンを採用

 天然素材のデンプンに塩化マグネシウム等の塩を加えると可塑化されるという現象を利用して、新しい生分解性材料の開発・製品化に取り組みました。その結果、十分な力学的特性と透明性を有するフィルム材料を得ることができました。この材料は加熱成形が可能であるため、例えば食品用容器に成形することができます。


デンプンを原料とした生分解性フィルム

高分子材料の問題

 ポリエチレンやポリスチレン等の高分子材料は廃棄、焼却による環境汚染や原油価格高騰による価格上昇等の問題に直面しています。これらの問題を解決できる材料として、天然素材を利用した生分解性材料の開発が求められています。
 そこで、天然素材のデンプンを用いた生分解性材料の開発に取り組みました。

デンプンの可塑化方法

 デンプンは自然界に豊富にあり安価な原料ですが、硬くて脆い性質を有するため、材料として用いるためには可塑化する必要があります。一般的にグリセリン等が可塑剤として用いられますが、ここでは我々が開発した塩を用いた可塑化法を適用しました。この方法は効率良くデンプンを可塑化できるだけでなく、抗菌性、電気特性(導電性、誘電率)等の付加的な機能を向上することができます。


塩による可塑化方法の特徴

デンプンを用いた生分解性フィルムの開発

 デンプンと塩の配合比率を検討し、フィルム材料として用いるために必要な力学的物性を得るための最適な組成を見いだしました。デンプンと塩からなるフィルムは十分な力学的特性を有しますが、水分に弱いという欠点がありました。そこで生分解性材料であるポリ乳酸によるラミネート化を行うことで、耐水性や力学的特性、透明性に優れる材料を得ることができました。このラミネートフィルムは加熱成形が可能であるため、圧空真空成形により深い容器を成形することができました。


卵パックのような深絞りの加工も可能

開発年度 平成18~19年度
事業、研究名 材料技術(共同研究)
平成18~19年度 兵庫県COEプログラム推進事業
お問合せ先 ■赤穂化成株式会社
赤穂市坂越329番地
Tel.0791-48-1722 Fax.0791-48-1715
http://web.ako-kasei.co.jp
■兵庫県立工業技術センター
材料技術部 平瀬 龍二、森 勝
環境・バイオ部 石原 マリ
皮革工業技術支援センター 中川 和治