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炭素繊維複合糸から作製した高耐久性バネ材料の開発

ミシンで作製した炭素繊維複合糸からなるバネ材料

 ミシンの機構を利用して作製した炭素繊維複合糸からなるバネ材料を播州織産地企業および同志社大学と共同で開発しました。この複合糸を用いることで、課題であった熱可塑性炭素繊維強化複合材料の樹脂の含浸性改善だけでなく、播州織産地の既存設備で炭素繊維織物が製造できるなど織物の新たな用途展開も可能となりました。炭素繊維複合糸から作製したバネ材料は、既存の炭素繊維製板バネよりも高い耐久性を持った材料です。


炭素繊維複合糸から作製した板バネ

炭素繊維強化バネ材料の課題

 炭素繊維を強化材とした複合材料は、軽量かつ優れた機械的性質と柔軟性を生かし、板バネなどのバネ材料として使用されることも多い。しかし、長期間の振動や高温多湿環境下の使用で剛性が大きく低下し、耐久性に問題がありました。そのため、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に替わり、生産性や耐衝撃性等に優れた熱可塑性樹脂を利用した材料開発が積極的に行われていますが、樹脂の含浸性や含浸性改善のための複合糸の生産性などに大きな課題がありました。
 そこで、高耐久性のバネ材料の開発を目的に、ミシンの機構を用いて炭素繊維と熱可塑性樹脂繊維からなる新たな複合糸を作製し、それから搬送用振動フィーダーで使用される板バネの開発を行いました。

ミシンの機構を利用した炭素繊維複合糸

 開発した炭素繊維複合糸は炭素繊維を芯とし、熱可塑性樹脂製の糸で周りを巻いた形態をしており、メローミシンの布の縁処理である“巻縫い”の機構を応用することで作製できました。また、製織時の炭素繊維の損傷を防止できるため、播州織産地企業の織機で製織できます。さらに、重ねた織物に高温で圧力を与えるだけで熱可塑性樹脂糸が溶けて織物内部に含浸し、短時間で優れた特性を持った材料の製造ができます。

バネ材料の耐久性

 バネ材料は、複合糸の規格(熱可塑性樹脂繊維の素材、炭素繊維の太さ、含有率)や織物規格(組織、密度)、成形時の積層構成(枚数、方向)および成形条件(温度、圧力、時間)などを変化させて作製しました。試作した板バネの多湿環境下での振動耐久性試験(振動回数=108)の結果、既存の炭素繊維製板バネよりも約1.6倍耐久性を向上することができました。

開発年度 平成22年度
事業、研究名 繊維複合化技術(共同研究)
平成22年度 JST A-STEP FSステージ探索タイプ、産学インキュベート事業
お問合せ先 ■藤邦織物株式会社
西脇市市原町109-2
Tel.0795-22-4759 
Fax.0795-23-0061
■宮田布帛有限会社
西脇市野中町38
Tel.0795-22-3772 
Fax.0795-23-4859
■兵庫県立工業技術センター
繊維工業技術支援センター 藤田 浩行