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水素脆性の少ないめっきプロセス

2層めっき法による水素脆性の抑制

 高強度鋼の水素脆性を抑制するめっき方法として、下層に水素脆性の少ないニッケル系めっき皮膜を形成させた後、上層に水素脆性を起こしやすい亜鉛系めっき皮膜を形成させることにより、高強度鋼の水素脆性を抑制する方法を見出しました。2層めっきプロセスにより、高強度綱に直接、亜鉛めっきするよりも水素脆性が低減されることがわかりました。


2層めっきしたボルト(試作品)

背景

 近年、航空機、輸送機器の軽量化のため、高強度薄型鋼板などの使用が増大傾向にあります。今後、環境にやさしい燃料電池車など水素エネルギ-の利用が増大することから、水素脆性による破壊を防止する表面処理法が要望されています。一方、工業製品の耐食性など機能性改善のため、電気めっきを行うと、酸洗、めっき時の水素発生により水素脆性が生じやすく、金属材料の破壊原因となります。そこで、水素脆性の少ない2層めっきプロセスを開発しました。(特開2013-19024)


破面の表面形態


2層めっきプロセス

めっきプロセス

 亜鉛めっき単一層の鋼板、下層に無電解ニッケル-リン合金めっきした後に亜鉛めっきした鋼板のエリクセン試験後の外観を示します。水素脆化度は、鋼板が割れた時の高さから求めました。これより、下層めっきの追加により、水素脆性の抑制が可能であることがわかります。従来、めっき工程における酸洗浄や電気めっき時に吸臓された水素の除去に、180~200℃、3~4時間の熱処理が実施されていますが、本プロセスでは、熱処理のエネルギ-コスト低減と二酸化炭素排出量の削減が可能です。


エリクセン試験結果

開発年度 平成22〜25年度
事業、研究名 表面処理技術(共同研究)
お問合せ先 ■株式会社大商
小野市匠台25(小野工業団地)
Tel.0794-62-3141 
Fax.0794-62-3544
http://www.kk-daisho.co.jp/
■兵庫県立工業技術センター
技術支援室 園田 司
生産技術部 山口 篤