兵庫県立工業技術センター > 活用事例集 > ピックル不要で鞣し可能な新規鞣剤で現場製造した耐火革

活用事例集一覧へ戻る

ピックル不要で鞣し可能な新規鞣剤で現場製造した耐火革

 最近、スタール・ジャパン(株)が日本に初めて輸入した新規高分子系鞣剤「グラノフィンF-90」を用いて耐火革を製造することができました。この鞣剤は非アルデヒド非クロム系鞣剤で、鞣すと白色の革ができます。この鞣剤には優れた特色が二つあります。一つ目はアルデヒドフリーで白色のエコレザーが製作できることで、二つ目はピックル工程なしで鞣しが可能であるため、生産工程の簡略化と排水処理コストを削減できることです。平成29年度に姫路市の皮革製造業者(タンナー)3社において、現場レベルで試作を行いました。その中で(株)山陽において試作した耐火革は耐火試験に合格しました。この耐火革はレザークラフト・タカタが溶鉱炉用プロテクターとして加工し、(株)井上金属ではこのプロテクターを実際に採用しています。
 耐火革の特徴は他の有機系素材より燃えにくく、燃えても六価クロム等の有害物質が発生しにくいところにあります。


溶鉱炉用プロテクターの着用写真

グラノフィンF-90を用いた鞣し

 皮にグラノフィンF-90を結合させる化学反応において、ある程度の熱量が必要です。日本のタンナーが所有する製造ドラムには、加熱設備がほとんどありません。そこで、冬期においても鞣しに必要な熱量が確保できるかどうか、製造現場で試作を行いました。その結果、温水を添加して鞣すことで、試作革の液中熱収縮温度(Ts)が約80 ℃に達し、鞣しが可能であることを明らかにしました。


鞣し工程中のドラム内部


試作した耐火革

耐火革以外の用途への展望

 鞣し工程後の再鞣・染色・加脂工程の製造処方によって、製造革の風合い、物性、色合いなどを調整でき、鞄、衣料、小物など、それぞれの用途に応じた革の製造が可能です。この鞣剤は非クロム非アルデヒド系鞣剤ですので、環境に配慮したエコレザーも製造できます。エコレザー認定を受けるには、遊離ホルムアルデヒドの原因物質となるアルデヒド系再鞣剤の使用量を制限して求める風合いを出す必要がありますが、そのノウハウも構築済みです。


溶鉱炉用プロテクターの使用風景

開発年度
事業、研究名 皮革技術
公開情報 松本誠:新規高分子系鞣剤を用いた鞣しに関する研究、兵庫県立工業技術センター研究報告書、Vol.27、p.57(2018)
お問合せ先 兵庫県立工業技術センター
皮革工業技術支援センター 松本 誠

皮革、衣料用、鞄用、小物用、耐火革